所蔵史料目録データベース

【史料種別】特殊蒐書
【蒐書名】三上参次関係史料
【解題】
 本史料は、明治28年(1895)に東京大学史料編纂所の前身である史料編纂掛の編纂委員となり、同32年(1899)年に東京帝国大学文科大学(現東京大学文学部)の教授になった三上参次(1865~1939)に関する史料群で、平成元年(1989)に本所に寄贈された。三上は東京帝国大学文学部長を務める一方で、史料編纂官も兼任していた。大正15年(1926)に東京帝国大学を退官後、三上は臨時帝室編修官長に任じられた。
 三上の著作としては、『尊皇論発達史』(昭和16年〈1941〉、冨山房)、『国史概説』(昭和18年〈1943〉、冨山房)、『江戸時代史』上・下巻(昭和18年〈1943〉、冨山房)が三部作として著名であるが、いずれも三上の没後に、辻善之助らの助力によって出版されたものである。本史料群は、これら三上の著作の稿本が大部分を占めている。しかし、稿本とはいっても、これらの著作は三上没後に編纂されたので、実際に三上が東京帝国大学で講義する際に作成した講義ノートがそのまま著書の原稿となっている。したがって、三上の講義内容を具体的に知ることができる貴重な史料でもある。
 また、三上は渋沢栄一との交流もあり、渋沢は『楽翁公伝』(実際の出版は昭和12年〈1937〉、岩波書店)(楽翁=松平定信)を執筆していることになっているが、この書はほぼ三上の指導によっていると思われる。三上は学生時代、松平定信の考察で卒業論文を執筆しており、渋沢に提供するためと思われる定信関係の史料や渋沢とのやり取りの書簡なども本史料群には含まれている(三上には著書に『白河楽翁公と徳川時代』〈明治24年、1891〉がある)。
 その他、史料編纂掛に関する史料や、臨時帝室編修官長時代の史料などもあり、明治期から大正期の史学史を検討する上でも貴重な史料群である。

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