≪解題≫
【史料種別】 特殊蒐書 |
【蒐書名】
近藤重蔵関係資料
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【解題】
本所が所蔵する「近藤重蔵関係資料」(以下、「関係資料」)は、江戸幕府の臣であった近藤重蔵が遺した資料で、以前は「近藤重蔵遺書」と呼ばれていた。記録では、1933(昭和8)年に稲本角之助氏から購入したものとされているが、当時の詳しい経緯は未詳である。内容は、重蔵が寛政年間から文政年間(1790年代~1820年代)にかけて書いた文書をはじめ、編著書・絵図・諸家からの書状・尚古的蒐集品などから成る、計770点余の資料群である。夥しい抹消・加筆の跡を残す上申書の草案類、著名な「蝦夷地絵図」を含む絵図類、幅広い交友関係を示す書状類などは、重蔵その人にとどまらず、当時の幕府の蝦夷地(北海道・千島・カラフト)政策やインテリ間のネットワークを研究する上でも貴重な資料になっている。近藤重蔵(1771-1829)は江戸幕府の御家人の家に生まれた。重蔵は通称で、諱は守重、号は正斎。若くして抜群の学才を発揮し、蝦夷地の調査や幕府蔵書の管理運営に活躍するいっぽう、地誌学者・考証学者としても優れた業績を残している。しかし我の強い性格が災いして周囲から疎んじられるようになり、最後は長男の起こした殺傷事件に連座して、不遇のうちに没した。 この「関係資料」のうち760点は、「重蔵の伝記と学問研究、当時の北方情勢を知る上で高い価値がある」として、1992年6月重要文化財(歴史資料の部)の指定を受けている。 山口靜子「近藤重蔵の史料―史料編纂所所蔵「近藤重蔵遺書」に見る―」(『所報』18、1983) https://www.hi.u-tokyo.ac.jp/publication/syoho/18/syoho0018-yamaguchi.pdf参照。 |